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仙腸関節の機能解剖と仙腸関節障害

仙腸関節の機能解剖と仙腸関節障害

こんにちは!

”福岡発”完全個室通い放題パーソナルジムchronicle -japan(クロニクルジャパン)福岡店の原田です!

今回は「仙腸関節の機能解剖と仙腸関節障害」についてお話しさせていただきます。

ヒトの特徴の一つが直立二足歩行であり、その為に脊椎や足部など、様々な部位が進化を遂げてきました。

そして、仙腸関節も直立二足歩行の獲得に向けて進化した部位の一つだと考えられています。

ヒトにとって重要な関節の一つである仙腸関節ですが、2009年のシステマティックレビューによると、腰痛および下肢痛を有する患者における、仙腸関節障害の有病率は10~38%と報告されており、腰痛や下肢痛の原因になりやすい部位でもあります。

今回は、そんな仙腸関節の機能解剖と、仙腸関節障害について解説します。

仙腸関節の機能解剖

仙骨と腸骨によって構成される仙腸関節は、1mm程度の並進移動と、1°程度の回旋が可能だと言われており、極々わずかな可動性を有する関節です。
ただ、このわずかな可動性が大変重要で、上半身と下半身の”つなぎ目”として衝撃緩和装置の役割を担っています。仙腸関節の動きには、前傾運動(ニューテーション)と後傾運動(カウンターニューテーション)があります。前傾運動は「うなづき運動」とも呼ばれ、腸骨に対して仙骨が前傾する動きで、仙腸関節の安定性が高まるポジション。
一方、後傾運動は「起き上がり運動」とも呼ばれ、腸骨に対して仙骨が後傾する動きで、うなづき運動時に比べると、仙腸関節の安定性が低下するポジションです。
歩行では左右の下肢が別々の動きをするので、仙腸関節も左右で対称的な動きをします。例えば、左下肢の立脚期(体重が乗っている状態)では、左側の仙骨は腸骨に対して前傾し、遊脚期(足が浮いている状態)の右下肢では、右側の仙骨が腸骨に対して後傾していると考えられています。
左右の仙腸関節の連動によって骨盤がスムーズに動き、効率の良いヒトの直立二足歩行が成り立っているんです。

仙腸関節障害の特徴

仙腸関節は、「後仙腸靭帯、長後仙腸靭帯、仙結節靭帯、仙辣帯、前仙腸靭帯」など、実に多くの靭帯によって守られています。ただ、これらの靭帯には侵害刺激を感知する自由神経終末というセンサーが多数分布していて、仙腸関節における痛みの発信源になっていることが分かっています。なかでも、「PSIS、長後仙腸靱帯、仙結節靱帯、腸骨筋」の圧痛所見は、特異度(仙腸関節痛ではない人には認められない所見)が高いと言われています。また、日本仙腸関節研究会の多施設共同研究により、仙腸関節障害と腰椎疾患(椎間板ヘルニア、狭窄症)との鑑別の為に作成された指標が、仙腸関節スコアです。仙腸関節スコアが4点以上の場合や複数の疼痛誘発テストが陽性だと、仙腸関節由来の疼痛の可能性が高く、感度90.3%(仙腸関節障害がある場合に、その所見がある人の割合)、特異度86.4%(仙腸関節痛ではない人には認められない所見)だと報告されています。

仙腸関節障害改善の考え方

最後は、仙腸関節障害改善の考え方について。
仙腸関節由来の痛みの多くは、靭帯が発信源となっています。
靭帯は関節を安定させるために存在している組織ですので、仙腸関節が不安定な状態になれば靭帯へのストレスが増大し、痛みとして表出される可能性が高くなりますよね。
そのため、痛みを改善する為の考え方としては、仙腸関節の安定性を高めることが有効だと考えられます。
今回は筋による仙腸関節の安定化について考えていきましょう。
前方は「腹斜筋群一腹部筋膜一対側の内転筋」のAOS (Anterior Oblique System)と呼ばれるライン、後方は「広背筋一胸腰筋膜一対側の大殿筋」のPOS (Posterior Oblique System) と呼ばれるラインが関節を安定させています。
また、腹横筋や内腹斜筋の下部線維は、腸骨を仙骨に圧着させるように作用するので、仙腸関節の安定化において重要な役割を担っています。
後方に位置する多裂筋を含め、インナーユニットが動作時に適切なタイミングで共収縮することで、仙腸関節を安定させているんです。

まとめ

今回は、仙腸関節の機能解剖と、仙腸関節障害の特徴について解説しました。
冒頭でもお伝えしたように、仙腸関節障害の有病率は10〜38%と報告されており、コンディショニング指導の現場でも遭遇することがあります。
腰痛や下肢痛でお悩みの方がいたら、仙腸関節障害の可能性も考慮し、評価をして頂ければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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